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  • 磯田道史: 武士の家計簿

アマチュア無線

2023年10月20日 (金)

無線機のサウンド強化 <準備編4> 外付けマイクロホンの周波数特性を知る

前回はマイクロホンを除いた リグ単体の周波数特性 を調べた
ので、次にマイクロホン (以下、マイク) 単体の周波数応答特性
を調べます。

使用した外付けマイクは4本。

 (1) audio-technica AT-X11 (ダイナミックマイク)
 (2) COLUMBIA DM-700 (ダイナミックマイク)
 (3) SONY ECM-99改 (コンデンサーマイク)
 (4) YAESU MH-31 (FT-991A付属品、ダイナミックマイク)

本来の無線機用は(4)のみで、(1)(2)はカラオケなどに使う有線
式ボーカルマイク、(3)は一昔前にポータブルカセットデッキ等
で使われた録音用のワンポイントステレオマイクです。

音源は前回と同じで、

 A.10周波数のマルチSine波 (下図左上)
 B.4周波数のマルチSine波 (同右上)
 C.ホワイトノイズ (同左下)

の3種類の疑似音声信号を10cm+2.5cmの2wayスピーカーに
入れ、その音を各マイクで拾いました。 無線機でしゃべる時を
想定して、スピーカー~マイク間は15cm位の近距離にしまし
た。 下記(1)(2)の結果を見る限り、再生スピーカーの周波数特
性はフラットに近いことが伺われ、問題なさそうです。
Mtg10t4twn_out
Aの10周波数は 250Hz/550Hz/860Hz/1160Hz/1470Hz/
1780Hz/2080Hz/2380Hz/2690Hz/2990Hz、Bの4周波数
は 130Hz/320Hz/800Hz/2000Hz の各組み合わせです。

(1) audio-technica AT-X11
 Atx11
 マルチSine波は 130Hz~2990Hz の全てがほぼフラットに
 通過しており、ホワイトノイズを見ると 100Hz~5000Hz位
 までは少なくとも通る (5000Hz以上で減衰しているのはPC
 の取込み側での問題) ようです。 前回報告のリグ単体の帯域
 より十分に広く、優れた特性です。

(2) COLUMBIA DM-700
 Dm700s
 AT-X11同様全てのSine波がほぼフラットです。 また、この
 方が感度が若干高い目であり、ホワイトノイズを見ると高域
 が更に伸びています (リグではそこまで通過しませんが) 。

(3) SONY ECM-99改
 元々付いていた古いSONY製コンデンサーマイクユニットを
 最近のパナソニック社WM-61A相当品に交換しています。
 Ecm99s
 全てのSine波が通過していますが、全域で完全にフラットで
 はなく、700Hz付近をピークに低高両側へ少し減衰するよう
 な特性になっています。 交換後のマイクユニットが非常に
 小径 (φ6mm) なせいでしょうか、低域は弱めです。

(4) YAESU MH-31
 マイク背面のスライドスイッチで音質の切り替えが可能です。
 A.TONEスイッチ=1 (標準的なフラットな送信音)
 Mh31s
 全Sine波が通過していますが、これも全域でフラットではな
 く、600Hz付近をピークに低高両側へ少し減衰があります。
 更にECM-99改よりクセがあり、1400Hz付近に凹みも見ら
 れます。 筐体構造に問題があるのでしょうか。

 B.TONEスイッチ= 2 (高音が強調された送信音)
 Mh31s2
 Aと比べると、緩やかな減衰の単純なローパスフィルタのよ
 うですね。 300Hzあたりで-10dB位でしょうか。 リグ自体
 の特性と組み合わせると、400Hz以下はほとんどカットされ
 ることになります。

マイク単体の出力信号にトーンコントロールやグラフィックイコ
ライザーを組み合わせて音質調整を図る前提だと、(1)(2)のボー
カルマイクが素直で扱いやすそうです。

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2023年10月17日 (火)

無線機のサウンド強化 <準備編3> アマチュア用無線機の平均的な送信特性を知る

前回の <準備編2> 受信特性比較 に続いて今度は、色んな
アマチュア無線用リグから送信される平均的な音声がどの位の
周波数帯域にわたっているのか調べるために各リグの送信特性
比較を行いました。 前回も取り上げた5機種は、固定機/モー
ビル機/ハンディ機を網羅しているので、好都合です。 まずは
マイクを含めず、リグ本体の送信音質性能のみを比較するため
に、各リグにはマイクの代わりに 前出の疑似音源 の出力を直接
つないで比較しました。 比較に用いた疑似音声信号は、

 A.10周波数のマルチSine波 (下図左上)
 B.4周波数のマルチSine波 (同右上)
 C.ホワイトノイズ (同左下)

の3種類で、下記のような周波数特性になっています。
線スペクトルの太さが低域側ほど太くなっているのは、周波数軸
が対数スケールになっているためです。
Mtg10t4twn_out
Aの10周波数は 250Hz/550Hz/860Hz/1160Hz/1470Hz/
1780Hz/2080Hz/2380Hz/2690Hz/2990Hz、Bの4周波数
は 130Hz/320Hz/800Hz/2000Hz の各組み合わせです。

(4)を除き、FT-7900HのSuper-DXモードで受信して評価しま
した。

(1) IC-9100
 IC-9100ではSETモードで受信音質の調整が可能でしたが、
 送信音質の調整パラメータもあり、トーンコントロールの
 Bassレベル、同Trebleレベルの2個が備わっています。
 ここでは、bassとTrebleは両方中央と両方最大の2通りで
 評価しました。
 A.bass・Trebleとも中央
 Tx10t4twn_ic9100_b0_t0
 低域側では 130Hzは不通過、250Hzも10dB以上の減衰で
 320Hzからは通っています。高域側では 2080Hzは通過、
 2380Hzは10dB以上の減衰。 送信音の帯域は概略300Hz~
 2200Hz位です。
 B.bass・Trebleとも最大
 Tx10t4twn_ic9100_b_t
 Aに比べると高域側は持ち上がっていますが、低域側は同程
 度です。 高域側は 2690Hzまで何とか10dB以内で通過して
 いるので、送信音の帯域は概略300Hz~2700Hz位です。

(2) FT-991A
 受信音質と同様、送信音質も固定です。
 Tx10t4twn_ft991a
 全体に IC-9100の "bass・Trebleとも中央" と同程度で、送信
 音の帯域は概略300Hz~2200Hz位です。

(3) FTM-100DH
 これも送信音質は固定です。
 Tx10t4twn_ftm100dh
 低域はFT-991A同様ですが、高域側は少し伸びていて、2380
 Hzがギリギリ10dB以内で、送信音の帯域は概略300Hz~
 2400Hz位です。

(4) FT-7900H (FTM-100DHでモニター)
 受信音質は変えられましたが、送信音質は固定です。
 Tx10t4twn_ft7900h
 低域側は320Hzも10dB以上の減衰で、通過は350Hzからで
 した。 高域側は2690Hzまで通っていて、送信音の帯域は
 概略330Hz~2700Hz位で、高域寄りです。

(5) VX-7
 50/144/430MHzの3bandハンディ機です。
 Tx10t4twn_vx7
 送信音の帯域は概略300Hz~2400Hz位で、まずまずの結果
 です。

以上の結果をまとめると、アマチュア無線用リグから送信され
る平均的な音声の周波数帯域はFMの場合、概略300Hz~2400
Hzといったところのようです。 高域側は特性の良いリグでは
2700Hz位まで伸びています。 なので、マイク側での "音の作り
込み" はこの周波数範囲内で頑張る、ということになります。

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2023年10月15日 (日)

無線機のサウンド強化 <準備編2> 自家モニター用リグの選定:受信特性比較

遠い過去の <準備編1>疑似音源の製作:前編 で、実際に音質
を調整する作業について

 送信側リグのマイクに向かってしゃべり送信
  ⇒ 受信側リグの音声出力をパソコンに取り込み録音
    ⇒ 再生して聞き比べ/波形・スペクトルの確認など

としていました。 フレンド局に聞いて評価してもらうのも一手
ですが、特に最初の段階で作業を効率良く進めるには、評価対象
のマイク&リグの送信波をすぐ隣りの別リグで受信してモニター
するのがベストです。 この時、自家モニター用リグには 広い周
波数帯域で受信音を再生できることが求められます。 そこで、
手持ちの複数台のリグの中からモニターに適したリグを選定する
ために、各リグの受信音の周波数帯域特性を調べてみることに
しました。

方法論として、飛び飛びの複数周波数のサイン波形を受信させて
振幅比較をするよりは、ホワイトノイズをフーリエ変換する方が
一度に連続帯域の情報が得られて手っ取り早いと考えました。
ホワイトノイズは特別に発生ツールを用意しなくても、リグにア
ンテナを繋がない状態でスケルチを開いて得られる「ザーッ」と
いうノイズで代用できそうです。

5台のリグ:IC-9100/FT-991A/FTM-100DH/FT-7900H
/VX-7 で430MHz FMについて調べた結果を下記に示します。

(1) IC-9100
 IC-9100ではSETモードで受信音質を調整できるパラメータが
 High Pass FilterのLow側周波数、Low Pass FilterのHigh側
 周波数、トーンコントロールのBassレベル、同Trebleレベル
 と4個備わっています。 ここではHPFとLPFはOffにし、bass
 とTrebleは両方中央と両方最大の2通りで評価しました。
 A.bass・Trebleとも中央
 Ic9100_hpf0_lpf_b0_t0
 B.bass・Trebleとも最大
 Ic9100_hpf0_lpf_b_t
 BはAに比べると低域/高域とも持ち上がっているのですが、
 数値を拾って評価するのに使える (耳で聞いた感じではなく)
 帯域は170Hz~2700Hz位です。 IC-9100の再生音は低域・
 高域側とも意図的に切れの良いフィルタでカットされていま
 す。 音質重視よりDX向きの高明瞭度狙いなのでしょうか?

(2) FT-991A
 ローコスト機ということでしょうか、受信音質を変えられる
 パラメータは無く、固定です。
 Ft991a
 IC-9100に比べると両端は自然な減衰のため、特に低域側は
 伸びていて、150Hz~2500Hz位が評価に使えそうです。

(3) FTM-100DH
 C4FMも使えるFMモービル機。 これも受信音質は固定です。
 Ftm100dh
 評価に使えるのはFT-991A同様、150Hz~2500Hz位です。
 内蔵スピーカーが小さいためでしょうか、FT-991Aと比べる
 と、ピーク周波数が低い側に振ってあります。

(4) FT-7900H
 FMのみのシンプルなモービル機なのですが、"受信感度向上機
 能"として「Super-DXモード」を備えています。 でもこれ、
 使った感じではどう見ても「再生音の高域を減衰させてノイズ
 感を減らすLow Pass Filter」のようにしか見えません。
 A.ノーマルモード
 Ft7900h
 なぜか新しいFTM-100DHよりも帯域は広く、120Hz~2700
 Hzが評価できそうです。
 B.Super-DXモード
 Ft7900h_sdx
 この結果を見ると「Super-DXモード」は単純な Low Pass
 Filterではないようで、高域は確かにカットされるのですが、
 中域のフラットな範囲が広くなっていて、良い感じです。
 ノーマルモードより少しだけ狭い120Hz~2500Hzが評価可
 能です。

(5) VX-7
 50/144/430MHzの3bandハンディ機です。
 Vx7
 期待はしていなかったのですが、高域側は最も優れていて、
 160Hz~3500Hzの帯域で評価できそうです。 5機種の中で
 唯一、広帯域のAM/FM商業放送の受信に対応しているためで
 しょうか。

以上の結果から総合的に判断すると、手持ちのリグの中では
FT-7900HのSuper-DXモードが最も自家モニターに向いてい
そうで、120Hz~2500Hzが評価可能です。 2500Hzを超える
高域にはVX-7が使えそうです。

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無線機のサウンド強化 <準備編1> 疑似音源の製作:後編

何と7年以上前の <前編> で、「次回以降、これら2つの道具
立ての製作記事を掲載していく予定です」と書いたままになって
いた記事の <続編> です!

で、いきなりですが、疑似音源の完成形です。
Mtgs

組込み用のルネサスRX62Nマイコン搭載の基板 (Interface誌の
付録) を用い、数値テーブルのデータをD/A変換して出力する
プログラムをC言語で書いて動かしています。

◆ 発生可能な音声信号
下記の6種類で、ドライバーでトリマー抵抗を回すことによって
切り替えられます (マイコン側はA/Dコンバータで検知) 。

 ①  ホワイトノイズ (線形合同法による疑似乱数発生で生成)
 ② 10周波数のマルチSine波
 ③ 4周波数のマルチSine波
 ④ 130Hzの単一Sine波
 ⑤ 320Hzの単一Sine波
 ⑥ 800Hzの単一Sine波

◆ 波形歪を精度良く検出するための工夫
②の10周波数は 250Hz/550Hz/860Hz/1160Hz/1470Hz/
1780Hz/2080Hz/2380Hz/2690Hz/2990Hz、③の4周波数
は 130Hz/320Hz/800Hz/2000Hz の各組み合わせです。
無線機の限られた帯域の中での使用を念頭に、最大周波数を
3kHzまでとしています。 また、②③の中に含まれる周波数は
互いに倍音 (ハーモニックス) の関係にならないよう、わざと
少しずつズラした関係にしてあります。

ご存じかと思いますが、単一周波数のSine波がゲイン過大など
で歪むと、元の周波数の2倍音や3倍音が発現します。 逆に、
これら倍音の含有を検知することで波形歪の有無が判定できま
す (これを数値化したものが歪率) 。 ところが、複数周波数の
混合Sine波の中に元々倍音関係の周波数が含まれていると、
判定がうまくできません。 そこで ②③では倍音の関係をわざと
崩しています。 但し弊害もあって、これらは所謂「不協和音」
なので、長く聞いていると気分が悪くなります。 また、オシロ
スコープで観察していると、波形が徐々に変化していって固定
した波形になりません。


この疑似音源を、スピーカーにつないでマイクに向けて音を入れ
たり、マイク信号の代わりに直接マイク入力端子につないだりし
て使う予定です。

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2023年10月 7日 (土)

続 : "チャンネルチェック (周波数チェック) " は?

(昨日の記事から続く)
違法無線局 (いわゆるアンカバ) の中には、他人のコールサイ
ンを騙る者も少なからずいるようです。 先日、件の "チャンネ
ルチェック" に対して コールサインらしきものを返す輩がいた
のですが、総務省の無線局等情報検索 で調べても、近隣で登録
の無い局です。 伝えると消えてしまいました。
国家資格の盗用は重い罪なので、止めた方が良いでしょう。

色んな手でやってきますね。 どんどん長くなってしまう ...

「周波数チェック、コールサインのある正規運用のアマチュア
無線局でお使いですか? 混信妨害等与えるようでしたら、
お手数ですが自身のコールサインで応答下さい。コールサイン
のない局、他人のコールサインを騙る局、持っていても業務目
的の違法局は通報します。こちらはJB1QSO、しばらく受信し
ます。」


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2023年10月 6日 (金)

正しい "チャンネルチェック (周波数チェック) " は?

皆さんは V/Uメイン周波数呼出の前の "チャンネルチェック"
(周波数チェック) をどうのようにされていますか?

JARL 東京都支部 のサイト には「チャンネルチェック! その遣り方で
大丈夫?(原文ママ)」のタイトルで、
Jarl_tokyo2
の内容が紹介されています。 チェックをかける側も使用中の
応答局も "互いのコールサイン" を名乗るのが正しい運用なん
ですね。

「使っている局いますか? 混信妨害等与えますか?」とだけ
尋ねて、違法無線局が「使ってるよ!」とだけ応答する、なん
て図式にも良く出会います。 少し長くなりますが、

「周波数チェック、コールサインのある正規運用のアマチュア
無線局でお使いですか? 混信妨害等与えるようでしたら、
お手数ですがコールサインで応答下さい。コールサインのない
局、持っていても業務目的の違法局は通報します。こちらは
JB1QSO、しばらく受信します。」

といったあたりが良いでしょうか? このようにコールしてくれ
る局が広まれば、効果がありそうな ...

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2023年8月28日 (月)

JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その5-

前回の 実験 -その4- に引き続き、山岳回折で当局自身が
交信した実験をもう一つ。 こちらは0エリア長野県佐久市固定
局とのQSOです。

前記事と同様に双方が八木アンテナで、互いに "浅間山ビーム"
での交信です。 但し、浅間山は佐久市局からは見通しなのです
が、当局からは直接見えないので、当局から約30kmにある
仏頂山430m (ローテータを回して検出した最高感度角度から
推定) 越えの山岳回折で浅間山を狙っての結果になります。
なので、"その4" と同様、「当局→山岳回折→山岳反射→相手
局」のパターンです。

"カシミール3D" による平面内での位置関係 (クリックで拡大)
B0
次に、断面方向 (垂直面内) は下のようになっています (クリ
ックで拡大) 。

B2
当局~仏頂山、仏頂山~浅間山、浅間山~佐久市局は各々見通
し可になっています。 佐久市局~仏頂山と当局~浅間山は
見通し"不可"です。

距離的にはこちらの方が遠い (直線で約180km) のにも関わら
ず、(プリ無しでは同じ51-51でしたが) シグナルはより強く、
低いノイズレベルでFMで楽に交信ができました。

【考察5】
(1) 本交信成立のパターンは、
    当局→仏頂山で真裏へ回折→浅間山で98°方向へ反射
  であると考えられる。
(2) "その4"のケースと違い、本交信では2つの山の間に適当
  な距離があること、また浅間山での反射の開き角が98°と
  大きくないことから、今回のシグナル強度の方が高かった
  のだと考えられる。

◆◆ 佐久市の局長さん、FBなQSOをありがとうございました!

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JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その4-

実験 -その1- で「当局から見て・・・奥会津の桧枝岐村~
燧ケ岳方面で、固定局・移動局とも極端に少ないようで交信
記録がないため山岳回折の効果については分からなかった」
と書いた "男体山の裏側方向" ですが、その貴重な初交信が
群馬県利根郡片品村固定局の局長さんと当局常置場所の間で
できたので報告します。 今回は当局自身のQSOなので送受
信の両方で確認した結果となります。

 注) 同じ片品村でも "完全に裏側" には当たらない "金精峠"
   移動局とのQSOは過去にありました。

アンテナは両局ともビームアンテナ (八木) です。片品村局は
近傍の日光白根山へ向け (距離が近く山頂を見上げる形となる
ため仰角を付けて、とのこと)、当局は男体山に向けての交信
でした。 当局が愛用する、超秀逸な3D地図ソフトして有名な
"カシミール3D" 上で、2つの山を挟んだ両局間の見通し関係
を確認ました。 平面内での位置関係は (クリックで拡大)
Photo_20230828101301
となっていて、当局~男体山~白根山 はほぼ一直線です。白根
山は男体山より若干高いだけなので、当局から見ると白根山は
男体山の影にほぼスッポリと隠れています。 次に、断面方向
(垂直面内) は下のようになっています  (クリックで拡大) 。

2
当局~男体山、男体山~白根山、白根山~片品村局は各々見通
し可になっています。 片品村局~男体山と前述の当局~白根山
は見通し"不可"です。

実はQSO自体は430MHzSSBだったのですが、片品村局は最初
のCQ呼出しをFMで行っており (433.00MHz) 、当局からは
それもちゃんと聞こえていました。 FMでのRSレポート交換は
行わなかったのですが、おそらく 430MHz FM としては お互
いに直下プリ無しだと "51-51" で、「シグナルは小さいものの
ギリギリ全部が了解可能」のレベルであったと思われます。
これまでの他の1回の "男体山反射" のみで成立した交信に比べ
ると、非常に低いシグナル強度となっています。

【考察4】
(1) 本交信成立のパターンとしては、次の2通りの解釈が考え
  られる。
  A) 当局→男体山で真裏へ回折→白根山で25°方向へ回折
  B) 当局→男体山で真裏へ回折→白根山で155°方向へ反射
(2) 経験的に「山岳回折では回折に寄与する山のすぐ裏側、即ち
  山影は回折波が届きにくい」といった感じがある (例:当局
  から見て筑波山反対側直下のつくば市など) 。片品村は白根
  山の直下なので白根山からの回折波は届きにくい。また25°
  の回折角は大き過ぎると思われるので、今回のケースでは
  おそらくBであると思う。
(3) 男体山~白根山も近いため、男体山を越えて回り込んだ回折
  波は十分拡散しないまま白根山の位置に到達すること、また
  白根山の反射の方も155°の開き角は大きいので、今回の
  シグナル強度は低かったのだと思う。

◆◆ 片品村の局長さん、FBなQSOをありがとうございました!

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2023年8月23日 (水)

JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その3-

前回の 実験 -その2- では「山岳回折では開き角 (入射角+
反射角) が大きい場合、効率が悪い」というような結果が出て
いましたが、今回、開き角の比較的小さい山岳反射の実験が
できたので報告します。

今回ワッチした局のQTHは神奈川県丹沢・大山山系の高取山。
当局から見た方位は富士山ビームより南になります。 標高の
高い山ではないので、当局から直接は見えません。 最初キャ
ッチできたのは 日光男体山反射でした (富士山反射は×) 。
あと、回折での伝播ルートとしてトライしたのは、筑波山と
そのちょっと南にある461mの宝篋山 (茨城県つくば市) 。
なお、"高取山"はこの周辺だけで3つもあり、交信内容からは
どれかは分からなかったため、取り敢えずカシミールの国土地
理院の地図で名前の出ている標高522mの山にしておきました
が、3つともそれ程離れていないので、角度/距離等は大きな
差は無いと思います。

結果は ↓ (クリックで拡大可能)
Qso_20230823171501

前回同様、受信可否は簡易的に3段階表記で、〇:明瞭度5、
△:明瞭度4~3、×:受信不可 です。

【考察3】
(1) 〇で良好に受信できたのは日光男体山による山岳反射で
  開き角は73°。 前回に比べ、良好な結果が得られたのは
  開き角が小さかったためであろうか。
(2) 上の図に記載していないが前回記載の中の反射系の他の
  山 (釈迦ヶ岳、袈裟丸山、赤城山など) は全て×だった。
  理由は・・・  良く分からない。
(3) 一方、山岳回折では 6°と比較的回折角の小さい宝篋山で
  は何とか受信できたが、18°の筑波山は×だった。 回折
  の結果としては、これらは前回より悪いのだが、理由は
  正直なところ、やはり良く分からない。

得られた実験結果は増えたのですが、使える山と使えない山
の違いが益々分かり難くなってしまった感があります。

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2023年8月 7日 (月)

JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その2-

前回の"その1"に続いて、今回は「送信局と受信局を各1局
に固定し、同一の組合せの中で "異なる複数の山" を使って
各径路毎の山岳反射・回折の効果を比較する」実験を行いま
した。

【実験2】
八ヶ岳の赤岳山頂 (標高2899m) から移動運用で出ている局
(多分ハンディ機+無指向性ホイップ/ロッドアンテナ) と他局
との交信を当局 JE1CRG がワッチ (赤岳山頂側の局のみ) し、
その受信可否を調べました。 当局から赤岳は直接見えないた
め、間に "山" を1つ挟み、その山によって生じる山岳反射・
回折の効果で受信するというものです。 実験に用いた "山" は
下記9山で、全て 当局~各山 と 各山~赤岳山頂 は "見通し:
可" です。 1.~6. は各々山体側方への反射、7.~9. は山頂向
う側への回折で伝播する形となります。

  1. 男体山 654m: 茨城県大子町
  2. 釈迦ヶ岳 (高原山) 1794m: 栃木県矢板市
  3. 男体山 2484m: 栃木県日光市
  4. 袈裟丸山 1961m: 栃木県日光市
  5. 黒桧山 (赤城山) 1828m: 群馬県前橋市
  6. 富士山 3776m: 静岡県富士宮市
  7. 雨引山 409m: 茨城県桜川市
  8. 加波山 709m: 茨城県桜川市
  9. 筑波山 876m: 茨城県つくば市

送信局の出力が小さく、当局のアンテナでは力不足なためか
ノイズ大で、アンテナ直下プリ:ONでの受信となりました。
直下プリを入れると信号強度をSメータで正確に読み取れない
ので、不本意ですが受信可否は簡易的に〇△×の3段階表記に
なってしまいました。 結果をプロットすると、こんな感じに
なりました。 ↓ (クリックで拡大可能)
Qso
黒△と青破線は山体側方への山岳反射での受信を示し、赤△
と赤破線は山頂向う側への山岳回折での受信を示しています。
山名の脇の "〇△×" が受信可否で、〇:明瞭度5、△:明瞭
度4~3、×:受信不可 です。 また、各山△の下はその山を
挟んで赤岳山頂と当局が成す開き角 (入射角+反射角、ある
いは回折角に相当) です。 なお、当局が使用したアンテナは
18エレ×2列×2段です。

【考察2】
(1) 〇で良好に受信できたのは、山岳回折の中で回折角の
  小さい (1°と8°) 7.と 8. のみであった。 回折角の大き
  い 9. と 山岳反射の方は△・×のみだった。 直感的な
  予想に違わず、回折角の小さい山岳回折が有利なように
  見える。
(2) 〇の山岳回折で使った山は決して高い山ではなく、400
  ~700mの低山であったが、それなりの回折効果が得ら
  れていることが伺える。2山の山容はあまり尖がってい
  るようには見えないが。
(3) 今回の実験に用いた赤岳までは約200kmと距離が非常に
  遠く、山岳反射に用いた 2.~5. の山での開き角が必然
  的に110~130°と大きくなっているのが不利な原因かも
  知れない。
(4) 1. の大子男体山は、別の交信実験から山岳回折では十分
  使える山であるとの結果が得られているが、低い山は
  山体が小さく、山岳反射には向かないのかも知れない。
(5) 富士山は反射の開き角は小さいが、当局からは手前にある
  筑波山の稜線ギリギリの "見通し" になっているため、
  元々不利なのかも知れない。 一方、山岳回折では富士山
  も愛知県・三重県などと良好な交信実績が得られており、
  一般論として同じ1つの山では「山岳回折>山岳反射」が
  成り立つのかも知れない (もっとデータが欲しい!) 。

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