無線機のサウンド強化 <準備編4> 外付けマイクロホンの周波数特性を知る
前回はマイクロホンを除いた リグ単体の周波数特性 を調べた
ので、次にマイクロホン (以下、マイク) 単体の周波数応答特性
を調べます。
使用した外付けマイクは4本。
(1) audio-technica AT-X11 (ダイナミックマイク)
(2) COLUMBIA DM-700 (ダイナミックマイク)
(3) SONY ECM-99改 (コンデンサーマイク)
(4) YAESU MH-31 (FT-991A付属品、ダイナミックマイク)
本来の無線機用は(4)のみで、(1)(2)はカラオケなどに使う有線
式ボーカルマイク、(3)は一昔前にポータブルカセットデッキ等
で使われた録音用のワンポイントステレオマイクです。
音源は前回と同じで、
A.10周波数のマルチSine波 (下図左上)
B.4周波数のマルチSine波 (同右上)
C.ホワイトノイズ (同左下)
の3種類の疑似音声信号を10cm+2.5cmの2wayスピーカーに
入れ、その音を各マイクで拾いました。 無線機でしゃべる時を
想定して、スピーカー~マイク間は15cm位の近距離にしまし
た。 下記(1)(2)の結果を見る限り、再生スピーカーの周波数特
性はフラットに近いことが伺われ、問題なさそうです。
Aの10周波数は 250Hz/550Hz/860Hz/1160Hz/1470Hz/
1780Hz/2080Hz/2380Hz/2690Hz/2990Hz、Bの4周波数
は 130Hz/320Hz/800Hz/2000Hz の各組み合わせです。
(1) audio-technica AT-X11
マルチSine波は 130Hz~2990Hz の全てがほぼフラットに
通過しており、ホワイトノイズを見ると 100Hz~5000Hz位
までは少なくとも通る (5000Hz以上で減衰しているのはPC
の取込み側での問題) ようです。 前回報告のリグ単体の帯域
より十分に広く、優れた特性です。
(2) COLUMBIA DM-700
AT-X11同様全てのSine波がほぼフラットです。 また、この
方が感度が若干高い目であり、ホワイトノイズを見ると高域
が更に伸びています (リグではそこまで通過しませんが) 。
(3) SONY ECM-99改
元々付いていた古いSONY製コンデンサーマイクユニットを
最近のパナソニック社WM-61A相当品に交換しています。
全てのSine波が通過していますが、全域で完全にフラットで
はなく、700Hz付近をピークに低高両側へ少し減衰するよう
な特性になっています。 交換後のマイクユニットが非常に
小径 (φ6mm) なせいでしょうか、低域は弱めです。
(4) YAESU MH-31
マイク背面のスライドスイッチで音質の切り替えが可能です。
A.TONEスイッチ=1 (標準的なフラットな送信音)
全Sine波が通過していますが、これも全域でフラットではな
く、600Hz付近をピークに低高両側へ少し減衰があります。
更にECM-99改よりクセがあり、1400Hz付近に凹みも見ら
れます。 筐体構造に問題があるのでしょうか。
B.TONEスイッチ= 2 (高音が強調された送信音)
Aと比べると、緩やかな減衰の単純なローパスフィルタのよ
うですね。 300Hzあたりで-10dB位でしょうか。 リグ自体
の特性と組み合わせると、400Hz以下はほとんどカットされ
ることになります。
マイク単体の出力信号にトーンコントロールやグラフィックイコ
ライザーを組み合わせて音質調整を図る前提だと、(1)(2)のボー
カルマイクが素直で扱いやすそうです。
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