無線機のサウンド強化 <準備編3> アマチュア用無線機の平均的な送信特性を知る
前回の <準備編2> 受信特性比較 に続いて今度は、色んな
アマチュア無線用リグから送信される平均的な音声がどの位の
周波数帯域にわたっているのか調べるために各リグの送信特性
比較を行いました。 前回も取り上げた5機種は、固定機/モー
ビル機/ハンディ機を網羅しているので、好都合です。 まずは
マイクを含めず、リグ本体の送信音質性能のみを比較するため
に、各リグにはマイクの代わりに 前出の疑似音源 の出力を直接
つないで比較しました。 比較に用いた疑似音声信号は、
A.10周波数のマルチSine波 (下図左上)
B.4周波数のマルチSine波 (同右上)
C.ホワイトノイズ (同左下)
の3種類で、下記のような周波数特性になっています。
線スペクトルの太さが低域側ほど太くなっているのは、周波数軸
が対数スケールになっているためです。
Aの10周波数は 250Hz/550Hz/860Hz/1160Hz/1470Hz/
1780Hz/2080Hz/2380Hz/2690Hz/2990Hz、Bの4周波数
は 130Hz/320Hz/800Hz/2000Hz の各組み合わせです。
(4)を除き、FT-7900HのSuper-DXモードで受信して評価しま
した。
(1) IC-9100
IC-9100ではSETモードで受信音質の調整が可能でしたが、
送信音質の調整パラメータもあり、トーンコントロールの
Bassレベル、同Trebleレベルの2個が備わっています。
ここでは、bassとTrebleは両方中央と両方最大の2通りで
評価しました。
A.bass・Trebleとも中央
低域側では 130Hzは不通過、250Hzも10dB以上の減衰で
320Hzからは通っています。高域側では 2080Hzは通過、
2380Hzは10dB以上の減衰。 送信音の帯域は概略300Hz~
2200Hz位です。
B.bass・Trebleとも最大
Aに比べると高域側は持ち上がっていますが、低域側は同程
度です。 高域側は 2690Hzまで何とか10dB以内で通過して
いるので、送信音の帯域は概略300Hz~2700Hz位です。
(2) FT-991A
受信音質と同様、送信音質も固定です。
全体に IC-9100の "bass・Trebleとも中央" と同程度で、送信
音の帯域は概略300Hz~2200Hz位です。
(3) FTM-100DH
これも送信音質は固定です。
低域はFT-991A同様ですが、高域側は少し伸びていて、2380
Hzがギリギリ10dB以内で、送信音の帯域は概略300Hz~
2400Hz位です。
(4) FT-7900H (FTM-100DHでモニター)
受信音質は変えられましたが、送信音質は固定です。
低域側は320Hzも10dB以上の減衰で、通過は350Hzからで
した。 高域側は2690Hzまで通っていて、送信音の帯域は
概略330Hz~2700Hz位で、高域寄りです。
(5) VX-7
50/144/430MHzの3bandハンディ機です。
送信音の帯域は概略300Hz~2400Hz位で、まずまずの結果
です。
以上の結果をまとめると、アマチュア無線用リグから送信され
る平均的な音声の周波数帯域はFMの場合、概略300Hz~2400
Hzといったところのようです。 高域側は特性の良いリグでは
2700Hz位まで伸びています。 なので、マイク側での "音の作り
込み" はこの周波数範囲内で頑張る、ということになります。
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