無線機のサウンド強化 <準備編2> 自家モニター用リグの選定:受信特性比較
遠い過去の <準備編1>疑似音源の製作:前編 で、実際に音質
を調整する作業について
送信側リグのマイクに向かってしゃべり送信
⇒ 受信側リグの音声出力をパソコンに取り込み録音
⇒ 再生して聞き比べ/波形・スペクトルの確認など
としていました。 フレンド局に聞いて評価してもらうのも一手
ですが、特に最初の段階で作業を効率良く進めるには、評価対象
のマイク&リグの送信波をすぐ隣りの別リグで受信してモニター
するのがベストです。 この時、自家モニター用リグには 広い周
波数帯域で受信音を再生できることが求められます。 そこで、
手持ちの複数台のリグの中からモニターに適したリグを選定する
ために、各リグの受信音の周波数帯域特性を調べてみることに
しました。
方法論として、飛び飛びの複数周波数のサイン波形を受信させて
振幅比較をするよりは、ホワイトノイズをフーリエ変換する方が
一度に連続帯域の情報が得られて手っ取り早いと考えました。
ホワイトノイズは特別に発生ツールを用意しなくても、リグにア
ンテナを繋がない状態でスケルチを開いて得られる「ザーッ」と
いうノイズで代用できそうです。
5台のリグ:IC-9100/FT-991A/FTM-100DH/FT-7900H
/VX-7 で430MHz FMについて調べた結果を下記に示します。
(1) IC-9100
IC-9100ではSETモードで受信音質を調整できるパラメータが
High Pass FilterのLow側周波数、Low Pass FilterのHigh側
周波数、トーンコントロールのBassレベル、同Trebleレベル
と4個備わっています。 ここではHPFとLPFはOffにし、bass
とTrebleは両方中央と両方最大の2通りで評価しました。
A.bass・Trebleとも中央
B.bass・Trebleとも最大
BはAに比べると低域/高域とも持ち上がっているのですが、
数値を拾って評価するのに使える (耳で聞いた感じではなく)
帯域は170Hz~2700Hz位です。 IC-9100の再生音は低域・
高域側とも意図的に切れの良いフィルタでカットされていま
す。 音質重視よりDX向きの高明瞭度狙いなのでしょうか?
(2) FT-991A
ローコスト機ということでしょうか、受信音質を変えられる
パラメータは無く、固定です。
IC-9100に比べると両端は自然な減衰のため、特に低域側は
伸びていて、150Hz~2500Hz位が評価に使えそうです。
(3) FTM-100DH
C4FMも使えるFMモービル機。 これも受信音質は固定です。
評価に使えるのはFT-991A同様、150Hz~2500Hz位です。
内蔵スピーカーが小さいためでしょうか、FT-991Aと比べる
と、ピーク周波数が低い側に振ってあります。
(4) FT-7900H
FMのみのシンプルなモービル機なのですが、"受信感度向上機
能"として「Super-DXモード」を備えています。 でもこれ、
使った感じではどう見ても「再生音の高域を減衰させてノイズ
感を減らすLow Pass Filter」のようにしか見えません。
A.ノーマルモード
なぜか新しいFTM-100DHよりも帯域は広く、120Hz~2700
Hzが評価できそうです。
B.Super-DXモード
この結果を見ると「Super-DXモード」は単純な Low Pass
Filterではないようで、高域は確かにカットされるのですが、
中域のフラットな範囲が広くなっていて、良い感じです。
ノーマルモードより少しだけ狭い120Hz~2500Hzが評価可
能です。
(5) VX-7
50/144/430MHzの3bandハンディ機です。
期待はしていなかったのですが、高域側は最も優れていて、
160Hz~3500Hzの帯域で評価できそうです。 5機種の中で
唯一、広帯域のAM/FM商業放送の受信に対応しているためで
しょうか。
以上の結果から総合的に判断すると、手持ちのリグの中では
FT-7900HのSuper-DXモードが最も自家モニターに向いてい
そうで、120Hz~2500Hzが評価可能です。 2500Hzを超える
高域にはVX-7が使えそうです。
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