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本 : My Favorite!

  • 磯田道史: 武士の家計簿

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2023年8月

2023年8月28日 (月)

JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その5-

前回の 実験 -その4- に引き続き、山岳回折で当局自身が
交信した実験をもう一つ。 こちらは0エリア長野県佐久市固定
局とのQSOです。

前記事と同様に双方が八木アンテナで、互いに "浅間山ビーム"
での交信です。 但し、浅間山は佐久市局からは見通しなのです
が、当局からは直接見えないので、当局から約30kmにある
仏頂山430m (ローテータを回して検出した最高感度角度から
推定) 越えの山岳回折で浅間山を狙っての結果になります。
なので、"その4" と同様、「当局→山岳回折→山岳反射→相手
局」のパターンです。

"カシミール3D" による平面内での位置関係 (クリックで拡大)
B0
次に、断面方向 (垂直面内) は下のようになっています (クリ
ックで拡大) 。

B2
当局~仏頂山、仏頂山~浅間山、浅間山~佐久市局は各々見通
し可になっています。 佐久市局~仏頂山と当局~浅間山は
見通し"不可"です。

距離的にはこちらの方が遠い (直線で約180km) のにも関わら
ず、(プリ無しでは同じ51-51でしたが) シグナルはより強く、
低いノイズレベルでFMで楽に交信ができました。

【考察5】
(1) 本交信成立のパターンは、
    当局→仏頂山で真裏へ回折→浅間山で98°方向へ反射
  であると考えられる。
(2) "その4"のケースと違い、本交信では2つの山の間に適当
  な距離があること、また浅間山での反射の開き角が98°と
  大きくないことから、今回のシグナル強度の方が高かった
  のだと考えられる。

◆◆ 佐久市の局長さん、FBなQSOをありがとうございました!

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JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その4-

実験 -その1- で「当局から見て・・・奥会津の桧枝岐村~
燧ケ岳方面で、固定局・移動局とも極端に少ないようで交信
記録がないため山岳回折の効果については分からなかった」
と書いた "男体山の裏側方向" ですが、その貴重な初交信が
群馬県利根郡片品村固定局の局長さんと当局常置場所の間で
できたので報告します。 今回は当局自身のQSOなので送受
信の両方で確認した結果となります。

 注) 同じ片品村でも "完全に裏側" には当たらない "金精峠"
   移動局とのQSOは過去にありました。

アンテナは両局ともビームアンテナ (八木) です。片品村局は
近傍の日光白根山へ向け (距離が近く山頂を見上げる形となる
ため仰角を付けて、とのこと)、当局は男体山に向けての交信
でした。 当局が愛用する、超秀逸な3D地図ソフトして有名な
"カシミール3D" 上で、2つの山を挟んだ両局間の見通し関係
を確認ました。 平面内での位置関係は (クリックで拡大)
Photo_20230828101301
となっていて、当局~男体山~白根山 はほぼ一直線です。白根
山は男体山より若干高いだけなので、当局から見ると白根山は
男体山の影にほぼスッポリと隠れています。 次に、断面方向
(垂直面内) は下のようになっています  (クリックで拡大) 。

2
当局~男体山、男体山~白根山、白根山~片品村局は各々見通
し可になっています。 片品村局~男体山と前述の当局~白根山
は見通し"不可"です。

実はQSO自体は430MHzSSBだったのですが、片品村局は最初
のCQ呼出しをFMで行っており (433.00MHz) 、当局からは
それもちゃんと聞こえていました。 FMでのRSレポート交換は
行わなかったのですが、おそらく 430MHz FM としては お互
いに直下プリ無しだと "51-51" で、「シグナルは小さいものの
ギリギリ全部が了解可能」のレベルであったと思われます。
これまでの他の1回の "男体山反射" のみで成立した交信に比べ
ると、非常に低いシグナル強度となっています。

【考察4】
(1) 本交信成立のパターンとしては、次の2通りの解釈が考え
  られる。
  A) 当局→男体山で真裏へ回折→白根山で25°方向へ回折
  B) 当局→男体山で真裏へ回折→白根山で155°方向へ反射
(2) 経験的に「山岳回折では回折に寄与する山のすぐ裏側、即ち
  山影は回折波が届きにくい」といった感じがある (例:当局
  から見て筑波山反対側直下のつくば市など) 。片品村は白根
  山の直下なので白根山からの回折波は届きにくい。また25°
  の回折角は大き過ぎると思われるので、今回のケースでは
  おそらくBであると思う。
(3) 男体山~白根山も近いため、男体山を越えて回り込んだ回折
  波は十分拡散しないまま白根山の位置に到達すること、また
  白根山の反射の方も155°の開き角は大きいので、今回の
  シグナル強度は低かったのだと思う。

◆◆ 片品村の局長さん、FBなQSOをありがとうございました!

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2023年8月23日 (水)

JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その3-

前回の 実験 -その2- では「山岳回折では開き角 (入射角+
反射角) が大きい場合、効率が悪い」というような結果が出て
いましたが、今回、開き角の比較的小さい山岳反射の実験が
できたので報告します。

今回ワッチした局のQTHは神奈川県丹沢・大山山系の高取山。
当局から見た方位は富士山ビームより南になります。 標高の
高い山ではないので、当局から直接は見えません。 最初キャ
ッチできたのは 日光男体山反射でした (富士山反射は×) 。
あと、回折での伝播ルートとしてトライしたのは、筑波山と
そのちょっと南にある461mの宝篋山 (茨城県つくば市) 。
なお、"高取山"はこの周辺だけで3つもあり、交信内容からは
どれかは分からなかったため、取り敢えずカシミールの国土地
理院の地図で名前の出ている標高522mの山にしておきました
が、3つともそれ程離れていないので、角度/距離等は大きな
差は無いと思います。

結果は ↓ (クリックで拡大可能)
Qso_20230823171501

前回同様、受信可否は簡易的に3段階表記で、〇:明瞭度5、
△:明瞭度4~3、×:受信不可 です。

【考察3】
(1) 〇で良好に受信できたのは日光男体山による山岳反射で
  開き角は73°。 前回に比べ、良好な結果が得られたのは
  開き角が小さかったためであろうか。
(2) 上の図に記載していないが前回記載の中の反射系の他の
  山 (釈迦ヶ岳、袈裟丸山、赤城山など) は全て×だった。
  理由は・・・  良く分からない。
(3) 一方、山岳回折では 6°と比較的回折角の小さい宝篋山で
  は何とか受信できたが、18°の筑波山は×だった。 回折
  の結果としては、これらは前回より悪いのだが、理由は
  正直なところ、やはり良く分からない。

得られた実験結果は増えたのですが、使える山と使えない山
の違いが益々分かり難くなってしまった感があります。

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2023年8月 7日 (月)

JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その2-

前回の"その1"に続いて、今回は「送信局と受信局を各1局
に固定し、同一の組合せの中で "異なる複数の山" を使って
各径路毎の山岳反射・回折の効果を比較する」実験を行いま
した。

【実験2】
八ヶ岳の赤岳山頂 (標高2899m) から移動運用で出ている局
(多分ハンディ機+無指向性ホイップ/ロッドアンテナ) と他局
との交信を当局 JE1CRG がワッチ (赤岳山頂側の局のみ) し、
その受信可否を調べました。 当局から赤岳は直接見えないた
め、間に "山" を1つ挟み、その山によって生じる山岳反射・
回折の効果で受信するというものです。 実験に用いた "山" は
下記9山で、全て 当局~各山 と 各山~赤岳山頂 は "見通し:
可" です。 1.~6. は各々山体側方への反射、7.~9. は山頂向
う側への回折で伝播する形となります。

  1. 男体山 654m: 茨城県大子町
  2. 釈迦ヶ岳 (高原山) 1794m: 栃木県矢板市
  3. 男体山 2484m: 栃木県日光市
  4. 袈裟丸山 1961m: 栃木県日光市
  5. 黒桧山 (赤城山) 1828m: 群馬県前橋市
  6. 富士山 3776m: 静岡県富士宮市
  7. 雨引山 409m: 茨城県桜川市
  8. 加波山 709m: 茨城県桜川市
  9. 筑波山 876m: 茨城県つくば市

送信局の出力が小さく、当局のアンテナでは力不足なためか
ノイズ大で、アンテナ直下プリ:ONでの受信となりました。
直下プリを入れると信号強度をSメータで正確に読み取れない
ので、不本意ですが受信可否は簡易的に〇△×の3段階表記に
なってしまいました。 結果をプロットすると、こんな感じに
なりました。 ↓ (クリックで拡大可能)
Qso
黒△と青破線は山体側方への山岳反射での受信を示し、赤△
と赤破線は山頂向う側への山岳回折での受信を示しています。
山名の脇の "〇△×" が受信可否で、〇:明瞭度5、△:明瞭
度4~3、×:受信不可 です。 また、各山△の下はその山を
挟んで赤岳山頂と当局が成す開き角 (入射角+反射角、ある
いは回折角に相当) です。 なお、当局が使用したアンテナは
18エレ×2列×2段です。

【考察2】
(1) 〇で良好に受信できたのは、山岳回折の中で回折角の
  小さい (1°と8°) 7.と 8. のみであった。 回折角の大き
  い 9. と 山岳反射の方は△・×のみだった。 直感的な
  予想に違わず、回折角の小さい山岳回折が有利なように
  見える。
(2) 〇の山岳回折で使った山は決して高い山ではなく、400
  ~700mの低山であったが、それなりの回折効果が得ら
  れていることが伺える。2山の山容はあまり尖がってい
  るようには見えないが。
(3) 今回の実験に用いた赤岳までは約200kmと距離が非常に
  遠く、山岳反射に用いた 2.~5. の山での開き角が必然
  的に110~130°と大きくなっているのが不利な原因かも
  知れない。
(4) 1. の大子男体山は、別の交信実験から山岳回折では十分
  使える山であるとの結果が得られているが、低い山は
  山体が小さく、山岳反射には向かないのかも知れない。
(5) 富士山は反射の開き角は小さいが、当局からは手前にある
  筑波山の稜線ギリギリの "見通し" になっているため、
  元々不利なのかも知れない。 一方、山岳回折では富士山
  も愛知県・三重県などと良好な交信実績が得られており、
  一般論として同じ1つの山では「山岳回折>山岳反射」が
  成り立つのかも知れない (もっとデータが欲しい!) 。

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JE1CRG が 430MHz帯での山岳反射・回折を 実際に実験してみました! -その1-

【前置き】 (ご存じの方はスキップ)
波長の短いVU帯の電波は光に近い直進性を持つため、送信
側と受信側が互いに直接見える (遠くのため小さ過ぎて判別
できないかどうかは別にして) 関係、いわゆる"見通し"距離で
の交信が基本です。途中に山などがなく平坦であっても距離
が遠ければ、地球の丸みで地平線/水平線下に隠れてしまい、
電波は届きません。 ところが、間に山があって"見通し"が
効かないはずの2地点でも、条件が整えば良好に交信できる
場合があります。 これは電波が、2地点間にある山の山体に
よって反射され向きを変えて進行したり (山岳反射)、山頂or
その近傍のエッジによって回折され向う側へ回り込んで伝播
したり (山岳回折) することがあるためです。 VU帯で交信
されるアマチュア無線家は皆さん良くご存じで、特に指向性
の高いビームアンテナをお持ちの局は積極的に活用されてい
らっしゃる (例 ⇒ "430FM伝播実験" ) ことと思います。
しかしながらCQ誌等を調べても具体的な事例や理論につい
ては掲載が無いようなので (探し方が悪い?) 、自分自身で
調査・実験をしてみることにしました。

【実験1】
当局 JE1CRG のこれまでのログの中から、[八木アンテナを
使い] and [方位の記録がある] ものをピックアップしてみま
した。 対象の "山" は、最も記録の多かった「日光男体山」
(標高2486m) を選びました。男体山反射を使った交信の中
から主だった相手局のQTHをプロットすると、こんな状況に
なりました。  (クリックで拡大可能)
Photo_20230807164201
緑の丸が各交信先のQTHで、脇の数字は当局アンテナ方位
~男体山反射後に相手局への到達方位 間の開き角 (入射角
+反射角に相当) です。 筑波山反射など他の山経由でのみ
交信しているエリアは空白域になっています。当局から
男体山に向かって右側 (東側) は対象局が極端に少ないため
開き角60°の御亭山 (こてやさん、移動地で有名) のみです。
一方、左側 (南側) は関東平野なので、部分的にピックアッ
プした結果でも結構な範囲がカバーされています。

<備考>
この記録のほとんどは当局が18エレ×2列(1段)の時のもの
です。 ちなみに現在は18エレ×2列×2段。 またデータは
当局が "送信" の場合のみです (送信局側が異なると比較で
きないため) 。

【考察1】
(1) 開き角100°くらいまでの広い範囲で反射波が利用でき
  ている (当局からは関東平野の主要部をほぼカバー) 。
(2) (1)の範囲内で、特に不感帯のような苦手エリアは存在
  せず、一様にカバーされているように見える。
(3) 当局から見て男体山の裏側方向は奥会津の桧枝岐村~
  燧ケ岳方面で、固定局・移動局とも極端に少ないよう
  で交信記録がないため、山岳回折の効果については分か
  らなかった。⇒ "その2" へ

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