【真空管 Audio CollectionⅡ: チューナー/アンプ編】 #3 ナショナル SF-965
SF-965は 左右セパレート式のスピーカーボックスとコンパク
トな本体から成る、卓上型ステレオプレーヤ&FM/AMラジオ
です。レコードプレーヤーとアンプ部はステレオ仕様ですが、
FMラジオは標準ではモノラル仕様で、ステレオ化するには
オプションの外付けMPXアダプターが必要になります。
このタイプの卓上型ステレオでは本体の上ブタを開けてレコ
ードをターンテーブルに載せる機種が多いのですが、本機で
はプレーヤー部の前パネル (下の写真の正面上半分の黒い
部分) を上奥にスライドさせて開くことで レコードを載せる
ことができます (30cmLPの場合はレコードが本体後ろに少
しはみ出します) 。
プレーヤー部は シンクロナスモーター(50Hz地域と60Hz地域
は別モデル!)+アイドラー駆動(33/45rpm)+クリスタル
ピックアップ です。昔のプレーヤーには良くある故障モード
なのですが、回転数選択ツマミを33rpmあるいは45rpmの
位置のまま長期間放置すると、ゴム製のアイドラーが細い
キャプスタン軸に押し付けられたままになり、当たっている
部分に凹んだクセが付いて戻らなくなってしまう という現象
が、正に入手した時点の本機でも発生していました。レコー
ド回転時に周期的に「カタン・カタン・・・」という異音が
発生するのです。そこで、アイドラーを研磨して円周を整え、
修理しました。
スピーカーボックス ↓ 。比較的大きな16cm径のスピーカー
が使われているのですが、板材が薄くて剛性が低いためか、
音質はあまり良くありません。正面開口部を覆っているのは
布ではなく、穴径の小さな 薄いパンチングメタルです。
一般的なステレオアンプでは左右Chの音量調節は、"同時/
個別回転とも可能な内外2軸の2連ボリューム" または "同時
に回転する2連ボリューム+バランス調整" です。ところが
本機は特殊で "左右Ch独立の2個のボリューム" なのですが、
その2個が同時に回転 (左Chを回せば右Chも連動、右Chを
回せば左Chも連動) するよう、各々の軸にプーリーが付いて
いてその間を糸掛けで繋いであるのです (使いにくいので外
しましたが) 。ボリュームはガリがあったので、新品に交換
しました。また、劣化していたコンデンサと音質に関係しそ
うなコンデンサも新品に交換しました。
真空管の構成は、FM/AMチューナー部が 12DT8+12BA6 x2
で、アンプ部が 12AX7+30M-P27 x2 の合計6球です。AM
局発はトランジスター(2SA102BA)、FMレシオ検波はゲルマ
ニウムダイオード、B電源整流はシリコンダイオードです。
AMはバーアンテナ内蔵なので電波の強いエリアでは外部アン
テナ無しで受信可能です。FMはIF増幅2段で感度はまあまあ
ですが、AFC回路は付いておらず、30M-P27 の発熱が激しい
せいか、周波数ドリフトが大きいです。
元々セット品のスピーカーの低域不足を補うためだったと思わ
れるのですが、下の回路図のように抵抗とコンデンサが直列に
入った特殊な負帰還回路が使われていました。このせいで本機
に一般のスピーカーを繋ぐと、低音/高音バランスが "異常" だ
ったのですが、抵抗とコンデンサを並列にした常識的な負帰還
回路に変更したところ、"まとも" な状態に改善しました。
※ この卓上ステレオは ヤフオクに出品して 次のオーナー様
に落札頂いたので、現在は手元にありません。
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