【真空管 Audio CollectionⅡ: チューナー/アンプ編】 #2 トリオ TRIO FM-110
トランス式・オール真空管 (B電源整流もレシオ検波も) の
貴重なごく初期のFMチューナーで、#1 の RE-510 より
更に古く、1958年 (昭和33) に定価8,200円で発売された
製品のようです。日本では 1957年 (昭和32) にNHKの試験
放送が始まり、その翌年にあたる 1958年は東海大学による
FM試験放送が始まった年です。
構成は 6AQ8 x2+6BA6 x2+6AL5+6X4 の6球で、周波
数ドリフトを抑制するAFC回路まで付いています。
上の写真は私が整備した最終状態ですが、ヤフオクで入手し
たときは下の写真の状態。タバコのヤニでしょうか? 茶色
のヒドい汚れでした。
中もホコリだらけ。
汚れだけならまだ良いのですが、修理に取り掛かってから
判明したのは "IFT (中間周波数トランス)" の破損。渾身の
力で回したのでしょうか、上下の調整ネジが壊れて固着し、
回せません (2本も!) 。しかも調整がズレた状態です。
想像するに、端まで回した状態でも調整しきれなかったの
で、更に力を込めて回してしまったのでしょう。元々の設計
通りなら調整範囲に収まるはずなのですが、そうでは無かっ
たようです。でもそれならそれで、IFT内の同調コンデンサ
容量の増減で対処すれば良かったのに ...
おかげでFM用の中古IFT一式を入手して交換する羽目になり
ました。コンデンサ容量は、やはり調整が必要でした。
修理と清掃・磨きが完了した状態 ↓
裏側 ↓
元々のTRIOの設計ではこの製品にはヒューズが付けられて
いなかったので、安全のため追加しておきました。
さらに、外部にMPXデコーダーを繋げばステレオ音声復調が
できるように、モノラル音声出力の前段で分岐させてMPX
出力も出しておきました。終段のIFT (検波の所) は、実際に
MPXデコーダー (後で登場する AX-5 ) を接続して、ステレオ
音声の分離具合と音質を確認しながら調整しました。
手間を掛けて調整した結果、元々の回路構成に見合う感度で
そこそこ良好に受信でき、ハムも小さく音質も良好に仕上がり
ました。
※ 回路図・実態配線図・調整要領等を記載した詳しい資料が
http://radio.eucaly.net/siryou/kiji/FM-110C.html
にあります。
※ このチューナーは ヤフオクに出品して 次のオーナー様に
落札頂いたので、現在は手元にありません。
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